歯科医療に於いて日常的に最も問題となる感染様式は目に見えない飛沫感染です。切削機械や超音波機器などで歯や骨の治療をする際に、口腔内の唾液や血液を広範囲に飛沫させていることが分かっています。いわゆる「エアロゾル」です。

このエアロゾルは小さいもので10ミクロン以下になり、一般的な歯科の主流であるオープンスペースの中に診療台を置いている環境の中では、10分程度で診療室全体に拡散してしまいます。

これは、歯を削っている患者様のエアロゾルが、他の治療している患者様のお口の中に入るということを意味します。

他人のエアロゾルが自分の口の中に入ってくるということは、「ウィルス感染の可能性がある」ということでもあるのです。


海外では一般的に歯科医院の診療室はエアロゾルが飛び散らないように完全個室ですが、日本ではオープンスペースに何台も診療台を並べて診療しているのが実情です。

エアロゾルでの感染リスクを軽減するためには歯科治療は完全個室の診療室で行い、なおかつ空気清浄機や口腔外バキューム装置を用いらなければならないのです。

歯科タービンや超音波機器などの歯科器具の滅菌状態が昨今問題視されていますが、エアロゾルでの診療室内の空気感染リスクも考える必要があります。